「今から、食堂に行くから一緒に食べよう、プレゼントのお返しに何か奢るよ」
「ぇ………」
再び青くなりながら石化している彼人の前で、ウェブは晴れ晴れとした顔でにっこりと笑った。
(お昼ご飯は、さっき食べた…)
フィンセントは脂汗を流しそうになりながら、何か良い言葉を捜して思案に暮れた。
「ん…?早く行かないと午後に予定があるんだけど…」
「えっ?行く!デザートは別腹!」
…………。
少し不機嫌な顔のクレーが居る研究室に、微妙な面持ちのフィンセントが現れたのは、
その日の午後遅く過ぎた頃だった。
「クリスマスは…攻めきれない……」
「そう……」
「はい、これケーキの、お裾分け」
綺麗に切り取られた一切れのショート・ケーキを紙皿に載せてフィンセントは差し出した。
「甘いものは…」
「たいして甘くないよ、機械に通して味を変えてきた…」
「そ、そう……」
電子顕微鏡を覗き込む同僚の後姿を見ながら、コーヒーを飲んで服していたクレーは、
貰ったケーキを一口食べて即座に、むせ返った。その声に振り向かないように、
フィンセントは呟いた。
「…うう…いいんだ、来年は…(ウェブと二人で、豪華なディナーを食べて、幸せな夜を過ごすんだ……)」
後ろで、いつまでも、むせ返っている同僚の声を聞きながら、フィンセントは小さく肩を震わせた。
(…でも…こうしている今が、何だか楽しいんだ……)
進まない関係は互いに立ち止まっているから…。
顕微鏡の向こうの小さな雪の結晶を見詰めながら、少しだけ、自分の手の平に触れた、もう一つの
不器用な手のことを思って目を閉じた。
END
****************************************************************
後書き。
うへー、先にお詫び;;使っているソフトの都合でショートにも関わらずページ数が意味も無く
マノビしてしまいましたm(__)m繰るの面倒だって方スイマセン;
来年はソフトも替えないとナ;…と、このノベルは
クリスマス用に11月の終りごろに急遽バタバタ書き下ろしたショート・ノベルでしたが、如何でしたでしょうか;;
主人公を差し置いて、サブの二人がメインとわ;;しかも当初の予定よりも、微妙〜にアマーイ雰囲気に
成りかけていましたが、これもクリスマスならではの特注と言うことで(^^;;(注:作者は、この二人のことが
好きですv片割れに至っては、修羅場中に、自キャラにも、関わらず、うっかり萌えかけました;;
onz(反省
『風の大使2』で登場する人物は現時点では、まだ内緒ですが(主役はアガタですよ!)
1からの謎は引き継がれていますので、お待ちくださいねー(ホンキで体が二つ欲しい、この頃onz。。。)
それにしても大使のシリーズはゲームで書くのにもスゴーク・エネルギーが要ります;;
だ、誰か『風の大使』と水晶惑星に愛の手を〜vvv求む365日サンタさーーん!!
(♪皆様は良い年末年始をお過ごしくださいvvv)
v 2006年師走の走りに.nosuma v