・風の大使アナザーSS☆クリスマス編☆
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『風の大使T』 ゲーム版クリア後のオマケ・シナリオ後日談(1)

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「ああ、もう構わないよ、明日、報告するから…」
ウェブはネオンの灯ったKブロックの歓楽街を歩きながら、軽く首を振って、ポケットに携帯パソコンをしまった。
「…あー、ダメだ、これ…レタスが萎びてるよ、もっとシャキっとしてなきゃ」
その横を歩くフィンセントは親指に付いたマスタードを軽く舐めると、手元の半分食べかけのホット・ドッグを
包装紙に包んで、カバンの中に放り込んだ。
「よく食べるな…」
彼女自身が勧めておいてなんだが、フィンセントの大食ぶりには、目を見張るものがある。
「うん…!」
何が嬉しいのか、フィンセントは子どもの様に表情を綻ばせて頷いた。
「とりあえず、サンプルは、たくさん採れたから、指示が降りたら直ぐに調べられるように保管して置くよ」
「助かるよ」
ウェブは並列に歩きながら、軽く頷いた。
「でも、チーフにしてはマワリくどい、伝達だね‥ボクには、さっぱり判らないよ」
「…いやがらせかもな」
「えっ?!」
フィンセントは、ぎょっとして、横に並んだウェブの顔を見た。
「まあ、私も流石に当分ホット・ドッグは食べたくないな…」
「ウェブ…」
フィンセントは、申し訳無さそうに、彼女の横顔を見つめた。
「ふふ、フィンセントが、そんな顔しなくてもいいだろ?ま、チーフも、そんな暇な事はしないさ…
どーせオルエン辺りだから…明日、問い詰めてやる」
視線に気づいて、ウェブは、ゆっくりと横に振り向くと、顔に薄く微笑を浮かべた。
「えっ、うん、そうなんだけど‥ほら、アレ…」
Kブロックの西の端っこに、夜間でも、はっきりと
判るネオンに縁取られて『ジャンボ・ホット・ドッグ』と書かれた 看板が、数件連なって二人の視界に飛び込んできた。

『うっ…』
胸焼けを起こしかけた胸元を左手で静かに擦りながら、フィンセントは開いた手で口元を軽く押さえた。
「大丈夫か…?」
軽く眉をしかめてウェブは同僚を気遣った。
「へ、へーき‥それより水は有る…?」
フィンセントは、ウェブの手から、ミネラル・ウォーターを受け取ると、ボトルのまま煽った。
「良く食べるから、やりすぎたか…」
「ああ、でも2件目のは美味しかったよ、小カジノの横のやつ、半月後には食べに行きたいな…」
酔っ払いが、怒鳴り合いをしている通りをゆっくりと、駅の方角に向かいながら、ウェブは彼人(カジン)の
体調を伺いながらも、辺りにも目を配った。
「この辺りの治安は、やや微妙だな、もう少し指導の強化が要るかも知れない、中途半端に
カジノみたいなのを置くから‥」
「‥‥‥」
フィンセントは、ごそごそとカバンを探り、黄色い包装紙に包まれた、
ジャンボ・ホット・ドッグを一つ摘み出した。
「………何してる…」
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